介護職に必要なコミュニケーション能力

介護職は対人援助の専門職です。介護サービスを提供するにあたっては、利用者やその家族と信頼関係を築くことが重要になります。そのためには、利用者に寄り添った、スムーズなコミュニケーションが不可欠です。しかし実際の介護現場では、コミュニケーションの不足や不一致によって、様々なトラブルが日常で発生します。そこで、介護職には臨機応変に適切な対処が求められます。

例えば食事援助の際に、利用者が何かと不平不満を漏らすことがあります。確かに食事そのものが原因の場合もありますが、実は背後に本当の原因が隠されていることもあります。日頃のストレスがたまって、それがもろもろの不満となり、食事をストレス発散のはけ口にしているケースなどは、その典型でしょう。このような場合には、ストレスの原因をいち早く見つけ出すことが大切です。そして楽しく食事ができるように、利用者とコミュニケーションを取りながらストレスの緩和に努めるのが効果的です。

またホームヘルパーの場合には、利用者宅で同居する家族とのトラブルもよく起こります。例えば排泄介助や入浴介助など、特定の介護サービスを提供しようとする度に、家族から何かと苦言を呈されることがあります。原因として考えられるのは、ホームヘルパーの介助方法がイメージしたものと異なり、困惑や不安などが根底にあるのかもしれません。そこで、事前に打ち合わせをおこない、食い違いを起こさないよう家族とコミュニケーションの場を持っておくことが必要になります。